hammerkammerの日記

アウトプット用で始めました。文章がめちゃくちゃだったらすみません

TUGUMI

ハンマ「おいすー、TUGUMI読んだよ」


カンマ「?、何それ?」


ハンマ「吉本ばななさんの純文学小説」


カンマ「おお、また純文学チャレンジしたんだ。で、どうだった?」


ハンマ「うん。描写が細かくてすごくきれいで、主人公のつぐみが強烈で魅力的なキャラだったよ」


カンマ「へぇ、どんな話なの?」


ハンマ「主人公はつぐみって言ったけど、実際の視点はつぐみの従姉妹のまりあ目線で語られるんだ。だからW主人公って言ってもいいのかもね。それで、まりあなんだけど父とは高校まで別で暮らしてたんだよね。というのも、まりあの母は父の不倫相手なんだ」


カンマ「なんか、いきなりギスギスしてるね」


ハンマ「父の方は夫婦関係が破綻していたんだけど、相手が離婚するのを嫌がってたみたいで、ずっとまりあの母は愛人扱いだったんだ」


カンマ「まあ、相手からしたら別の女に子供まで作っちゃってるからね。そりゃ、中々引き下がらないでしょ」


ハンマ「まあね。でもこの小説では道徳よりも愛って感じかな。割と不倫でも肯定的に捉えている印象。それで、仕方ないから母の妹夫婦の所にお世話になってるの。その母の妹の娘がつぐみって訳」


カンマ「ん?その母の妹さんは金持ちとでも結婚したの?」


ハンマ「いや、旅館を夫婦で経営しているの。西伊豆をイメージしてこの小説書いたんだって。吉本ばななさんも毎年親子で行ってて、その時の景色とか思いを小説にしたかったんだって。で、戻るけどそのつぐみってのがとにかく性格が悪いの。まりあ曰わくわがままでずる賢くて、人の嫌がることを一番嫌なタイミングで行って、それをケタケタ笑うような。それでいて、男の前では猫かぶる」


カンマ「最悪だな」


ハンマ「うん。けど、色白で病弱でまわりの人もはっとするような美人なんだって」


カンマ「なんかラノベで出てきそうなキャラだね」


ハンマ「他の人のレビューでも同じこと言ってた(笑)性格が歪んだのは病弱だったために、周囲が甘やかして育てたせいみたい」


カンマ「けど、言うほど魅力的か?そのつぐみって」


ハンマ「うーん、なんだろ、周囲に強くあたるけどその裏にある儚さみたいな。不良の女の先輩に童貞がドキドキするようなそんな感じ」


カンマ「ああ、分からなくもない。俺も好き」


ハンマ「それで、まりあが大学生になる頃に父の離婚が決まって親子3人で東京で暮らすことになるんだけど、大学生になったまりあのもとに夏休み前につぐみから電話が掛かってきて夏が過ぎたらつぐみの実家が旅館を畳むことになったことを告げられて、最後にもう一度山本家旅館って言うんだけど、まりあはそこに帰ってひと夏を過ごすことに決めるの。その時の物語ってわけ」


カンマ「ふーん、それでぶっちゃけ面白いの」


ハンマ「うーん、俺は正直のめり込むってことはなかったかな。っていうのも確かに描写もきれいだし、つぐみのキャラも魅力的だけど、日常が淡々と描かれてるだけで小さな事件は起きるけど、ハラハラドキドキってことはないから。現実の世界だったらその小さな事件だって大事なのかもしれないけど、どうにも俺にはまだそこまでの感受性は育ってないみたい」


カンマ「難しいな」


ハンマ「どうなんだろ、純文学としは読みやすい方だと思う。恭一ってその地域に大きなホテルを建てるオーナーの息子に会って、私達の忘れられない夏になったって言うんだけど、結論としてはつぐみと付き合うのと、ホテルのオーナーの息子ってことで恨みを買われて恭一の飼い犬が殺されてしまうという」


カンマ「えっ、飼い犬殺されるって結構大事じゃない」


ハンマ「まあ、だけどそこも淡々としてるん感じなんだよね。つぐみは復讐で殺したグループの一人を落とし穴に沈めちゃうんだけどね」


カンマ「病弱なのに?てか、それどうなるの?」


ハンマ「つぐみの姉の陽子ちゃんにバレて、何とか罪を負うことはなかったよ。ただ、その作業でつぐみは疲弊しきって入院。それで、つぐみは・・・」


カンマ「えっ、亡くなっちゃうの?」


ハンマ「ううん、かなり弱りきって本当に亡くなる一歩手前までいくんだけど、なんとか持ち直すの。死を意識したつぐみはまりあに宛てて手紙を書くんだけど、最後はそのつぐみの手紙の文面で終わり」


カンマ「そうなんだ」


ハンマ「つぐみが亡くならないことに正直びっくりした。この小説で一番びっくりしたのがそこだと思う。ていうのも、目次の最後の章がつぐみからの手紙っていうタイトルだし、最初の方で私の心のかえるところは、あの頃つぐみのいた日々のうちだけに、ある。っていう文章があるから、もうこんなのフリ利かせまくってるなあって思うでしょ。」


カンマ「確かにな。じゃあ、最後にこの小説を読んで一番印象に残った場面教えて」


ハンマ「この小説は10代の頃に多くの人が経験したような煌めきと幸せに満ちあふれた時間。今では夢だったんじゃないかと錯覚してしまうような淡い感覚をぎゅっと詰め込んだ小説だと思う。それが一番表現されてたと思う場面がまりあの東京への引っ越しがもうそろそろになった頃、まりあと陽子ちゃんは同じ職場でバイトしてるんだけど、その時の帰りの道中の会話や描写がとても優しさに満ちあふれてて素敵だなと思った」


カンマ「ありがと、また新しい本読んだら感想聞かせてね」


ハンマ「ほーい」