hammerkammerの日記

アウトプット用で始めました。文章がめちゃくちゃだったらすみません

苦役列車

西村賢太苦役列車を読んだ。主人公貫多がなぜか憎めないクズでとても面白かった。今まで数冊純文学を読んだが一番面白かった。貧困層の生々しい現実と貫多のクズな胸の内。本来なら反吐が出るような内容かもしれないが、作者の文才によってこの救いのない状況が何か愛嬌みたいな魅力を持って読者を惹きこむような感覚を覚えた。名前を出してはいけないあのラジオのようだと思った。「ひでぇなーw、本当ひでぇよww、あげとこうw」みたいな。ただ好き嫌いは分かれるだろうなと思ってレビューを見たら、案の定星1の評価が結構あった。

 

ただ最後は尻切れトンボみたいに急に終わったので幾分消化不良は否めない。あと結構古い文体なので読んだ後調べてみたら2011年発行の作品で驚いたと同時に意図的に古い文体を使っているのがさむいなと思った。あと話の中心は貫多が19才の時の話だが、その後の40才になった貫多の話も出てくる。こっちはあまり面白くないが、貫多は相変わらず社会の底辺から抜け出せていなくて今の日本では一度落伍者のレッテルを張られると二度と抜け出せない(本人のせいなのも多分にある)状況にどうしたらいいものか考えさせられた。

そんな若年層の貧困と犯罪加害者の身内という重たいメッセージもあり、それらについてあまり考えたことがなかったので調べて自分なりに結論を出したらまた書きたいと思う。